皆様に、謹んでご報告がございます。

 

この度、立川談吉を預かり弟子として迎えることと致しました。

 

まず、「預かり弟子」についてご説明いたします。

われわれ落語家の世界には皆様ご承知のとおり「前座・二ツ目・真打」というみっつの階級があり、真打になる前に師匠が亡くなってしまうと新たに他の真打の門下となる、というしきたりがあるのです。

 

次に、「立川談吉」という男についての説明を。

談吉は2008年に立川談志に入門、つまりはじめは私の弟弟子(おとうとでし)でした。

当時、談志は72歳。この頃から徐々に体調を崩し、2011年11月逝去。結果として談吉は「立川談志 最後の弟子」となったわけです。

談吉はそれに伴い、同じく談志門下の大先輩である立川左談次師匠の預かり弟子となりました。

ところがその左談次師匠までもが病魔に侵され、今年(2018年)3月、冥途へ旅立たれてしまわれたのです。

つまり談吉は、入門してわずか十年で師匠を二人も喪うという悲運に見舞われているのです。

 

その談吉は現在まだ二ツ目で、当然また誰かの門下とならなければなりません。

「談吉の三人目の師匠は誰になるのだろう?」などと陰ながら気をもんでおりましたが、なんと彼はこの私に弟子入りを申し込んできました。

正直言ってかなり驚きましたし、戸惑いもしました。彼を弟子として預かったとして、いったいこの先何をどうすれば良いのかも、実のところあまりよく分かっていません。

しかしもちろん、頼まれた以上は私自身もハラをくくって引き受けることと致しました。

もともと同じ「立川談志」を師匠として選んだ間柄です。兄弟の末っ子です。その彼が私を新たな師匠として指名してくれたのですから。

 

もちろん私がどうこうせずとも、彼はもう立派な二ツ目ですし、実力もセンスもある男と見込んでいます。何より落語に対し真面目で熱心です。

この先どうして行けばいいかは、彼自身がわかっているはずです。

とにかく、まずは彼が真打になるまで見守ってやろうと思います。

 

そしてこの文章を読んでくださった皆様にも、どうか立川談吉を見守ってやっていただきたいのです。

具体的には、客として彼の落語を観に行ってやってほしいのです。

あつかましいようですが、出来れば彼を招いて落語会を開いてやってほしいのです。

もっとあつかましいですが、彼が真打になる際には祝儀袋のひとつも手渡してやってほしいのです。

 

彼が無事に真打の看板をあげれば、師匠談志も左談次師匠も喜んでくださることでしょう。

それが私にとっても、せめてもの師匠孝行・兄弟子孝行になるはずです。

 

そんな仕儀でございまして、「談志最後の弟子」である談吉を、「談志が認めた最後の真打」である私・談修が縁あって預かることとなりました。

ここに謹んでご報告申し上げます。

今後とも、ご指導とご鞭撻を賜りますよう、ご贔屓お引き立てをいただけますよう、伏してお願い申し上げる次第にございます。

 

立川 談修