有楽町、よみうりホール。
あと少しで、談志独演会が始まる。
1000対1の、孤独な戦場。
今夜は俺も、その戦いに少しだけ参加させてもらう。
われわれ芸人や役者の世界に、「板の上で死ねたら本望」という言い回しがある。
「命を懸けた高座」なんて言いかたもする。
しかし、実際に高座や舞台の上で命を落とすなんてことは、ほとんど無いと言っていいだろう。
野垂れ死にや孤独死はあっても、落語家が高座の上で死んだという話はついぞ聞いたことがない。
俺は時々、自分はつくづく安全な商売についたもんだなあと考えることがある。
落語家は、自分の命も観客の命も、危険にさらすことが無い。
(せいぜい、つまらない落語を演ってお客を退屈させる程度だ。)
一方では、人命にかかわる職業というのも世の中には沢山ある。
自分の生命や身体を損なってしまいかねない職業(高所作業員や消防士)、
相手(客)の命や健康に大きく関わる職業(医者や運転手)。
日々のプレッシャーは、大変なモノだと思う。
こういう仕事に就いている人が居てくれるおかげで社会が成り立っていることを、「俺にはとても務まらない」という畏敬の念も含め、忘れないようにしたい。
そう考えると、「板の上で死ねたら本望」なんてことを軽々しく言うのも失礼な気さえする。
ゆうべ、ある有名なプロレスラーが、リングの上で命を落とした。
プロレスをよく知らない俺がこんなことを書くのはおこがましいけれど。
心より、ご冥福をお祈りいたします。
先日、群馬県渋川市へ行ってきました。
公民館で一時間、汗だくになりつつ『ちりとてちん』と『宮戸川』、更に踊りも。
お客様は予想以上のナイスリアクションで、主催者さんにも喜んでもらえて、こちらも片道3時間かけて来た甲斐があったなあ・・・とひと安心。
後日、地元紙の上毛新聞に写真付きで載ったそうで、主催者さんが切り抜きを送ってくださいました。
わざわざありがとうございます。
見出しには「軽妙な話芸を披露」。
本文を読んでみると「聴衆の心をつかみ」「笑いの世界に誘った」「軽妙な語り口に」「会場は何度も爆笑に包まれた」。
あはは。
志の輔師の『バールのようなもの』じゃないですが、新聞やニュースの定型句って、ホントに現代にも生きてるんですねえ。